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EPISODE001
鉛筆画家 土田圭介の作品には、観た人だけに伝わる様々な「彩」が息づいている、不思議な世界が映りこむ。まさに土田は鉛筆の可能性をアートとして可視化した人物の一人である。小学生のころ鉛筆を使っていた人は多いのではないだろうか。削れ方による鉛筆の細さ、濃淡の違い、大人になるにつれて鉛筆を使うことは少なくなっていくが、その鉛筆のなめらかさやあたたかみは今でも心に残っている。そんな鉛筆の特性を活かし、「縦」の線だけで作品を描く。そこには土田が創り出したメソッドと意味がある。土田が作品を描くにあたって大切にしているのは「感情」や「雰囲気」といった、「形の無いもの」に形を付けること。感じたままをキャンバスに落としていくそこには、土田の心が揺れたファンタジーが現れ出す。画家として売れることを考えることよりも自分がワクワクしながら描けるものを描く。それは形の無いものを形にする彼が絶対的に大事にしていること。彼が感じたことは絵となり、観る人の心に共感を呼ぶ。それは結果的に「売れる」に繋がるのだ。作品づくりに於いて「変化」を大切にしている土田は、日常に於いても普段とちょっと違う行動をしてみたりと、作品との「心のシンクロ」を楽しんでいるようだ。しかし土田は、作品と一体となって100%の作品を創り出しても、描いた際の感情が100%観る人へ伝わるとは思っていない。観てもらう人に対して10%程度の共感が重要で、自分の手から離れ相手の生活の一部にその作品がなることが楽しみであり、幸せと感じているようだ。そういう意味で言えば、人によって感じ方は違えど、心動かされる瞬間に変わりはない。「自分の心」を表現した彼の作品は、観た人の心に明かりをともすのであろう。
2018.04.27
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