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EPISODE002
江戸時代に作られた「万年時計」をご存じだろうか。日本で創られた時計の中でも複雑な構造が組み合わさった「ものづくり」の最高傑作と呼ばれている和時計。365の歯がある歯車を一本のヤスリで削って作り出された工程を知ったとき、ものすごい衝撃を受けたと語るのは独立時計師である菊野昌宏だ。その和時計に込められた様々な技法を解析しながら腕時計にその要素を入れ込もうと挑戦した菊野は独自の和時計を作り出した。しかも腕時計である。今でこそ彼は時計師として生計を立てているが、時計学校に通ったころは夢を諦めかけていた。当時は学校でも企業に就職するのがほとんどで、個人で一から時計を作るという事は前例の無いことだったのだ。しかし、菊野の「ものづくり」への欲求は、その和時計との出会いによって大きく突き動かされた。埋もれてしまった和時計の技術を掘り起こし、自身の腕時計の技術に活かすこと。そして、いつか江戸時代の道具で和時計を再現したいと話す菊野は時計を作ることを「原始的な欲求のひとつ」だと語る。失敗と学びを繰り返してもなお、時計を作り続ける菊野昌宏の探求心は、日本の時計をいつか変えてしまうかもしれない。さらに言えば世界の時計を変えていくだろう。日本人だからこそ日本人でなければ作り出せない時計を作っていきたいと言葉に出す菊野は、時計はもちろん、いわゆる「おもてなし」もまた日本人ならではの大切な伝統。菊野は何ヶ月も掛かる制作期間中、制作プロセスを写真に収めながら素敵なブックレイトまで作り出し、完成時にお客様へ手渡す。こんなにも想いが込められた腕時計は生涯残る最高の「おもてなし」である。作り手の想い、そしてお客様へのおもてなし。日本に彼のようなクリエイターが存在すること自体が感激である。
2018.10.12
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