Sculptor
Sculptor – 金巻芳俊
人の「心の多面性」を一つの作品に詰め込む木彫作家の金巻芳俊。人間をモチーフに描かれるその作品には、「その人」の抱えている想いや感情を無限に想像させられるデザインになっている。中でも特徴的なのが一つの体に360度表情を詰め込んだ作品や、横長に広がる表情の数々だ。幼少期のころからプラモデルなど「モノを作ること」が好きだった金巻はデザイン科のある高校に進学。しかし、自分が作家として何に向いているのか思い悩む時期もあった。デザイン、石彫、木彫と様々なジャンルに挑戦する中で「木彫」に決めてからのイマジネーションはいつの間にか定義づけられていた「概念」から自分自身を解放し、「自分らしさ」が見え隠れし始めた。その結果、今のスタイルを打ち出せるようになったと振り返る。作品が世の中に出るきっかけとなったのは知人の紹介で出品することになった「アートフェア東京」だった。今ではSNSなども駆使した結果、国内外問わず金巻の作品は知れ渡っていった。結果、海外からの個展の依頼も多くなった。滑らかで暖かみのある木の質感と金巻が描きだすアンビバレンスな人の心は不思議な化学反応を起こし、私たち観る者の「想像力」というボタンを押させ掻き立てる。