Pencil Artist
Pencil Artist – 土田圭介
鉛筆の縦の線だけで濃淡を表し、きめ細やかで幻想的な作品を描くのは鉛筆画家 土田圭介だ。幼少期から絵を描くことが好きだった土田だが、思春期には自分の「絵」への気持ちにふたをすることもあったという。しかし会社員の道を経て心機一転、ふたをしていた絵への気持ちを忘れられずに京都美術短期大学に入学した。鉛筆と出会ったのはその時だった。久しぶりの「デッサン」、うまくできずに縦のストロークで描いたところその作風が自分にぴたりとはまったのだ。彼の作品に決まったモチーフやテーマはない、いうなれば「感情である。自分の心が感じたことなど形にできないものを絵にしているということ。だから彼の作品には幻想的な世界観のなかにもコミカルで思わず笑顔になってしまうものもある。そういった彼の多面的な心が感じたことは観る人の心を動かし、共感を呼ぶ。彼の作品を一度観てみてほしい。色彩のない鉛筆画に色を感じ、ぬくもりを感じ、時に切なさや荒々しさを感じる。細い線で描かれた壮大な世界をじっくりと眺めていくうちに、知らないうちに固くなった心がほどけていく。