Paint Artist – さとうたけし

「ペイントローラー」で壁を塗る光景はよく見るが、作品を描く光景はなかなか想像つかない。そんなペイントローラーでびっくりするほど素晴らしいバラを描くのはペイントアーティスト さとうたけし。驚異の速さで絵を完成させるライブパフォーマンスは、見る人を驚かせるだけでなく、作品として映しだされる完成形はまるで予想もできなかった素晴らしさである。「ペイントアーティスト」として活動する「理由」がとても理解できた。さとうが「筆」として使用しているのはペイントローラー。ペイントローラーとの出会いは、壁画職人をしていた時だった。当時、筆を使って壁に絵を描いていたさとうにとって、ペイントローラーは作品を消すための道具にすぎなかった。機械やプリント技術の発達によって壁画職人としての需要が無くなってきた時、彼はライブで壁に絵を描くことを思いついた。しかし当時、筆を使っていた彼は、バラ一つを描くのにも10分以上かかっていたのだ。そうして描き切れなかった絵をペイントローラーで消していた時、「消すことなら早くできる…」とその存在に気付き、「スピード」にこだわることは「パフォーマンス」へと繋がっていった。その結果、ゆっくりと筆で絵を描いていた時には足を止めなかった道行く人々が、ペイントローラーで早く描くことによって興味を示した。その足を止めたのだ。さとうの出身は宮城県。2011年の東日本大震災を経験して、チャリティイベントなどにも積極的に参加しているさとうが本気で考えている事。それは「アートで多くの人々を助けられる世界を創ること」である。