Artist
Artist – 堀江栞
「描きたい!」と心が響いた被写体が現れた時、頭にモチーフが描かれ筆が動き出す。それらに出会う為の活動はしない。日々ナチュラルに、そして受け入れる。これが画家 堀江栞の「創造」するスタンス。そのスタンスから、多くの生き物たちが彼女の目の前に現れた。そして彼女が放つ生き物たちには、互いの言葉なくして伝わる何かがあった。彼らの目の奥には、堀江の愛情をたっぷり受け取った「優しさ」で満たされている。だからこそキャンバスいっぱいに描かれた彼らを見つめていると、その愛情の欠片を、まるで分けてくれるかのように優しく語りかけてくれる。絵が大好きな幼少期から、自らを示す「生き方」の道は変えることなく多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻。堀江が表現に使用する画材は扱いが難しいとされている「岩絵具」だ。この運命的に出会った「岩絵具」はそれ単体では画材になり難く、膠(ニカワ)と一緒に指で混ぜ色味を創り出す。細かい粒子になるほど乱反射が多く、狙った色合いに中々なり難いが、むしろその変動が生き物の皮膚を表す躍動感へと繋がった。ハシビロコウがモデルになっている作品「おまえに話しつづけた」では、決して「言葉」が聞こえるわけではないが、何かを話しかけてもらっているような感覚すら感じる。自分のスキルやセオリーで「それっぽさ」を表現してしまっている「作家」がいるならば是非堀江の作品を目の当たりにして欲しい!あの頃の、ワクワクしてモノづくりをしていた瞬間を想い起すだろう。