Artist

池田俊彦

長編小説をめくるように究極の黒は存在を語る

Artist – 池田俊彦

「究極の黒」と称して銅版画を用い、老いを持った不死者たちを描くのは銅版画家 池田俊彦。池田の溢れるアイディアの中に潜むのはいつも人間の生と死、老いについてだ。「人間が不死を獲得したらどうなるのか」何億年と生き続けたものの姿を彼は究極の黒を用いながら「人の生き続けるべき先の世界」として巧みに描き出す。「まるで長い小説を描いているようだ」と語る池田の創り出すその怪しい世界観と美しい黒に、鑑賞者は心を奪われ、頭の中でそれぞれの物語を鮮明に宿す。確かに池田の制作風景を眺めながら、描くその「人物」について伺っていると、小説の一片を読み解いているようだ。銅を腐蝕させ、その腐蝕された部分が黒となって浮かび上がる。この技法は銅の腐蝕された時間で黒の濃淡を変える。まさに池田にとってその濃淡こそが老いさせる(=腐蝕させる)といった意味合いもあり、不死者の黒い生命力そのものを技法とコンセプトと見事に掛け合わせ表現している。彼が銅版画の魅力に出会ったのは江戸川乱歩の表紙に描かれている多賀 新の作品を見た時だった。その世界に魅せられ美術大学に入学、しかしそこで学んだのは油絵だった。銅版画への想いが募る中、諦めきれず東京藝術大学大学院美術研究科(版画研究室)へと進む。誰しも一度は考えるであろう、生き続けることへの憧れ。彼の作品を見たら少し考え方が変わるかもしれない。永遠の命を得たその先は…。

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